「ザ・コーポレーション」試写

12月から渋谷のアップリンクにて上映予定の問題作、ザ・コーポレーションを試写してきました。

http://www.uplink.co.jp/corporation/index.html
最近日本でも話題となった企業買収、また連続する企業の不祥事、あるいは郵政民営化の是非、それらの問題を考えるにはまず、政治システムを超えて私たちの生活に最も影響を与える存在となった“企業(コーポレーション)”とは何なのかを知る必要があります。

『ザ・コーポレーション』はカナダで製作された長編ドキュメンタリーで、ニューヨークでロングラン上映されたのを始め世界中で草の根的に上映され、多くの観客の支持を集めている作品です。

企業を一人の人間として精神分析を行うと完全にサイコパス(精神病質者)の症状を示すという仮定の下に語られる本作には、ナイキ(靴)、ロイヤル・ダッチ・シェル(石油)、ファイザー(薬品)といった実在のグローバル企業のCEOたちが登場します。

また、牛の飼料に発がん性の物質が使われている事をレポートした番組をFOX TVが握りつぶしたことを訴えた内部告発者や、ボリビアアメリカ企業が水道事業を民営化したのに反対し勝利を収めた活動家、「ブランドなんか、いらない(NO LOGO)」のナオミ・クライン、MIT教授のノーム・チョムスキー、そして『華氏911』のマイケル・ムーア監督ら、総勢40名の証言や発言で構成されています。

いやあ、『郵政民営化』でやんやの今にぴったしのタイミングで見ごたえ十分のドキュメンタリー映画。昨年のアカデミー賞で話題になった『華氏911』形式の株式会社バージョンといえばわかりやすいでしょうか?長さも145分(この情報は是非ともHPにいれていただきたいののです)、先ごろ当ブログでも話題にした、休憩あり(1時間半後に数分、但し、本興行ではあるのかな?)の映画。何せ、中味パンパン状態だから、休憩がないとかなり辛い映画であることは確か。オムニバス形式にやたらと色々な顔と言葉と、瞬間芸ともいえる映像バンバンだから、正直、集中しているのは1時間が限度。小さい声でいいますが、前半の最後三十分は、かなりしんどかった。日本だったら、もっとたらたらした映像を作るだろうから、見る分には3時間ぶっ通しでも大丈夫だろうけど、中味はこの映画の4分の一くらいになるでしょうね。

この映画が製作されたカナダって、文化の香りも個性も薄い国のように感じるけれども、モントリオール氏から、敬愛するロベール・ルパージュが出ていたり、モントリオール・フィルの美しい音色を思い起こしたりしてみて、また、かなり人間的に生活しやすい国のようであることを鑑みてみて、そして、この映画が作られた国であることが決定的となり、突如、カナダという国にも大いなる興味を持ってしまった。かなりのインパクトのある作品であった。

追記:残念だったのは、会場の音響。ボワンボワンとして、英語が聞き取りにくく、字幕を見ないと理解できなかった。これは仕方が無いかな?