蜷川ヘンリー六世

与野本町のさいたま芸術劇場にて。昨年新国版を見ていたのでそれなりについて行ったが、こちらは通し上演のみで、新国よりも若干短く休憩が少ない。夜の9時半終演では行きたくとも行けない人もいる事だろう。


蜷川さんらしく中央舞台で反対側にも観客。この劇場の音響のせいか、正面でないと台詞が聞こえにくい役者も多い。勿論イケメン役者も多いのですが。


最初に真っ白な舞台の上にある大量の血と思われる血溜まりを数人の掃除婦が綺麗に拭き取り、今度は天井から大きな肉片と思われる気味の悪いまるで大量の飛び降り自殺のようなボトボトがあり、更に掃除婦が片付ける。その後にはお得意の大量の花が落ちる。芝居ね間、同様の繰り返し。つくづく蜷川は観客の気持ちや集中力を短時間でつかむ最良の職人だと思った。

大竹しのぶジャンヌダルクとマーガレットの二役。リチャード三世役の高岡蒼甫が舞台役者に負けずに台詞がはっきりしている。主役のヘンリー六世は上川隆也だが、新国の若手に比べてさすがに苦悩の表現は素晴らしかったが、この役は新国の方がいかにも歴史に翻弄された風で良かったような気もした。意外に良かったのが草刈民代。この人は絶対にバレエよりも女優の方がいい。バレエで鍛えた美しい立ち姿が生きていたし台詞もしっかりしていた。


やはり疲れた。早く帰りたいのが本音かもしれない。