N響・レーピンのシベリウス
N響アワーで中村紘子がレーピンの紹介をした時代。私が最も熱意を持ってコンサートや舞台を見た時代に、ヴェンゲーロフやシャハムと並んで売り出していたレーピンが、はや不惑に入り、鶴見辰吾とやや雰囲気が似た素敵なおじ様となってサントリーホールの舞台中央へ。
思いっきり美音を出しながら艶やかに奏でるレーピンを見て、歌舞伎時代物の立役を見ている気分となる。クラッシックなら不惑で到達するに、歌舞伎なら還暦に届かないと出せない真の立役の味わい。改めて勘三郎丈の不運を思う。私が知らない時代ながら、恐らく11代目團十郎の逝去以来の、歌舞伎ファンの思いではなかろうか?
私としては、日曜日にNHKで放映した追悼で、図らずも三津五郎が口にした、芸を持っているから、自分の芸を大事にして欲しかった、に全く同じ思い。三津五郎と勘三郎の二人の火花散る舞台をもっともっと見たかった。
昨晩聴いた、千住真理子さんも311へと気持ちの籠もっ素晴らしい演奏だったが、翌日油が乗ったレーピンを聴いてしまうと、器の違い、資質の違いを感じざるを得ない。
前に、上原彩子を聴いて翌日にアルゲリッチを聴いた経験を思い出した。
今日は後ろの方がずっと鼻を啜る音で、武満のノベンバーステップを集中して聞けず、誰かいわないかと思いながら、バックからティッシュを出して渡し、音が気になったことを伝える。隣人に感謝された。
サントリーホールの二階サイド、素晴らしかった!