蜷川「メディア」鑑賞

 アップは多分、9日月曜日の夜になるかな?大竹しのぶって苦手ですが・・・

 「メディア」、大変面白かった。舞台も大変美しい。蜷川らしく、まるで不忍池の7月みたいな馬鹿でかい蓮華の花が本水を使った池の中に植え込まれ、2階のコクーンシートから眺めた水面との調和と白地を基本とした舞台とがが大変美しい。
 俳優もこれ以上にないほどの粒ぞろい。大竹しのぶは、あのハイテンションは、メディアやエレクトラといった役柄にはぴったり。ロンドンの話にばかりなって恐縮であるが、大竹と同年輩で同じようにキャリアを積んでいる、ハイテンションの名優、小柄で美人でないところも同類のフィオナ・ショウ*1の「エレクトラ」を以前に現地で拝見したことがあるが、いつも大竹しのぶを重ね合わせてみてしまう。「メディア」はフリンジで一度ロンドンで見ているが、その時の舞台よりも今回の方が美しい分、上、ともいえよう。もう一つ、私が見ているのは、余り評判のよくない映画版、マリア・カラスの「メディア」。こちらは、既に歌えなくなった頃のカラスの凄い存在感、怖さだけが印象に残るのみである。
 「エレクトラ」にしても、「メディア」にしても1幕二時間前後、コクーンシートで首が廻らなくなる前に終わったのも嬉しい。子役の可愛らしさを強調するために、最初の場面で水と戯れる幼い兄弟の姿を描いたところも効いている。それにしても、残酷極まりないこの話、どうしても感情移入できないのは私だけではないだろうけれども。

http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/event/media/

追記(1)大竹しのぶの相手役、生瀬勝久もよかったです。この人、守備範囲がめちゃめちゃ広いですね。恥づかしながら、私がこの方の名前と顔を知ったのは、テレビの「HR」で。あの中国人役から、中国人が演じるハムレット、一昨年は新国立でのシリアスな役(2003年の標(ブイ)から何から、何でもこいなんですね。個性が強そうで、そうでもない。個性が強すぎていつも大竹しのぶになる大竹しのぶよりも、絶対守備範囲は広いと思うなあ。

上記(1)への追記:はてなキーワード見て確認、「トリック」にも出ていましたね、かつら被った面白い役。とても今回の舞台が信じられない摩訶不思議な役者さんだ。

*1:ハリー・ポッター3でも、彼女の元気な姿が見られて嬉しかった。但し、今だ40台半ばのはずなのに、既に伯母さん役であったが