ベニサンピットにてtpt20周年記念「A Number ナンバー」

 5月7日の日経新聞の記事を見て、id:rarayan0520:20050502#p01を思い出し、思い切って予約。明後日までのようなので、ギリギリかな?と思いながら、一時間の上演舞台のためにはるばる森下まで。考えれば、前回ベニサンピットにいったのは、既に10年以上前、話題のここの舞台を見てみたかったし、ディヴィット・ルボーの舞台も見たかったから*1。見たのはタイトルは忘れたけれども、佐藤オリエ主役の正統派の白く美しい舞台だった。
 今回の「ナンバー」の中味については、ららさんの日記を見ていただけば判っていただけると思うが、まさにロンドンに戻ったような感覚にさせられる。ロイヤルコートで活躍した脚本家の作品。ロイヤルコートというと、内面をうまく書き込んだ大人の作品を多く上演されていた印象がある劇場である。今回もそう。以前にロシアの演出家の作品で、安部公房の「砂の女」を池袋の芸術劇場小ホールにて見たときのように、舞台の回りに、まるでカヤのように黒い網を四方六面に張って、不思議な異次元感覚を演出している。目の前に小林勝也手塚とおる*2観客席にまで行くにしても、一人一人、ゆっくりとまるで遊園地のなんとか屋敷を歩くように、不思議な空間への橋渡しされているような気持ちになる演出も面白い。
 内容も、実は沢山いた息子のクローンたちと父親とのアイデンティティの対決と面白いところをついているのだが、見終わっていまひとつ充足感がないのは残念だった。

*1:http://www.tpt.co.jp/index_archives.html背信でした

*2:私はこの役者のことは、一昨年の新国「マッチ売りの少女」で初めて見たが、とにかく個性派の不思議な男優。コメント欄にも書いたように、昨年は「リア王の悲劇」で道化役、そして新国の「透明人間の湯気」でも見たはずなのに、こちらは宮沢りえと安部サダヲしか記憶になし。ごめんなさい。何となく思い入れしたくなる俳優さんなんですけどね。