歌舞伎座11月公演昼夜通し鑑賞(13日)

 昼が断然面白かった。通常は昼に居眠り、夜に冴えるのに今回は逆。全体的に、染五郎が頑張ってる、という印象。役者ぶりも大きくなったからか、以前のような線の細さをそれ程感じなかった。映画や他の舞台などでの活躍で自信がついたのかな。
不評の噂ときいた「息子」も面白かった。同じく小山内薫原作なのかもしれないが(面倒で後から調べます)、以前に「梅玉襲名地方巡業」サンパール荒川で見た、友右衛門&芝雀木兄弟の吹雪の位芝居「吹雪峠」かな?に状況が良く似ていた(吹雪の中、いかにも寒くて暗いなかに二人)。確かこの公演、十年位前に見たが、その後、「演劇界」にて友右衛門夫人が「歌舞伎って不思議ですね。男の兄弟が舞台で夫婦役やって抱き合うんですからね」とおっしゃっていたのを読んだ記憶が鮮明である。

 「熊谷陣屋」も、松嶋屋の絵のような決まり決まり、どうしても隣に玉三郎を思い浮かべたくなるような美しさ。雀右衛門、夜といい、誰かに手を引いて貰っての舞台、10年前の大成駒を思い出してしまった。でも、それ以外はまだまだご元気の様子。

 「文七元結」、幸四郎が大分アレンジしていて面白かった。全体に台詞が増えていたが、まるで今まで見ていた作品とは別になっているようで、わかりやすくなっていたかもしれない。

 夜の部、吉右衛門の作品、申し訳ありません。癒しの時間となってしまいました。
 「連獅子」は、やはり踊りのうまい染五郎にばかり目がいってしまって。親子なのに、中村屋と違って必ずしも合わないところが面白かった。
 「おさん茂兵衛」での梅枝君、まだちょっとお玉には無理ながら、そういう役で育ってもらわないと。三津五郎さんところの巳之助君とライバルになりそう。
 鷹之助君、凄い、6歳で迫力あり。2歳から見得を切っていた大ちゃんだから、今日も何回も首ふりふり。鷹之助君がいっちょ前の役者になるまで見守りたいなあ。

 ところで今日、3階の亡くなった名優たちの写真を見ていて、「阪東寿三郎」と「市川斎入」のお二人はどんな役者だったのかまるで分からず。今まで気づかなかったなんて。

追記:10日前にいった演舞場。今日の夜の部と同様な位置に座ったが(3階一列目上手)、舞台の役者の顔がよく判別できなかったのは、私の体調のせいか(とにかくかったるかった)、それとも舞台が暗かったから?今日の歌舞伎座はよく見えた。歌舞伎座のほうが大きいはずなのに。