昨日、一昨日感動した作品

まとめて紹介

http://www.tokyo-opera-nomori.com/program/index.html
ヴェルディ: レクイエム 4月 6日 (木) 19:00 東京文化会館 大ホール
4月 8日 (土) 19:30 すみだトリフォニーホール 大ホール
S:\25,000 A:\22,000 B:\19,000 C:\15,000 D:\8,000 学生席:\4,000 (税込)
学生席のチケット(25歳未満・要学生証)は「東京のオペラの森」のみでの取扱いとなります
指揮: リッカルドムーティ
ソプラノ: バルバラ・フリットリ
メゾ・ソプラノ: エカテリーナ・グバノワ
テノール: ジュゼッペ・サッバティー
バス: イルデブランド・ダルカンジェロ   
演奏: 東京のオペラの森管弦楽団
合唱: 東京のオペラの森合唱団
エストロ・ムーティ君臨!“ヴェルディのために生まれてきた男”が感動を呼ぶ
■これもまたオペラなのか、それとも……
 「レクイエム」は凝縮されたドラマだった
 言うまでもなく「レクイエム」といえば、亡くなった人が永遠の安らぎを得て天国へと旅立つための音楽。古くはグレゴリオ聖歌の中で歌われる「ディエス・イレ(怒りの日)」(ベルリオーズの「幻想交響曲」やリストの「死の舞踏」など、さまざまな作品にも登場する有名なメロディ)にはじまり、中世やルネサンス期における作品、そしてモーツァルトによる名作などがあり、ブラームスフォーレといった作曲家も心にしみ入るレクイエムを書いています。
 しかしヴェルディの「レクイエム」は、まるでオペラのように劇的。慰められるべき魂が激動の人生を振り返っているかのような曲なのです。その代表的な一コマが、まさに「ディエス・イレ」の部分。ヴェルディの「レクイエム」をまったく知らない人でも、曲が始まって10分して衝撃的に出現するこの音楽を聴けば、雷に打たれたようなショックを覚えることでしょう。映画『バトル・ロワイヤル』に使用されたことがきっかけとなり、今ではテレビでも“戦い”“激昂”“怒り”といった場面のBGMとして有名になった、あの音楽なのですから。まるで、天から大きな斧が振り下ろされるような音が連打され、合唱が叫ぶように歌うこの曲は神による「最後の審判」の音楽。空が崩れ落ち、天使たちが神のメッセージを告げるトランペットを吹き鳴らしながら飛び交うという、恐ろしい場面なのです。舞台とは別のところにトランペットほか金管楽器が配置され、立体的な音楽になるのも興奮ものです。
 怒りを鎮める祈りの音楽も含め、この場面は約40分。「ディエス・イレ」が終わると、全曲の折り返し地点となります。

■敬愛する詩人を追悼するため精魂を込め
 劇的かつ劇場的な傑作が生まれた

 ヴェルディが「レクイエム」を作曲しようと思い立ったのは1868年、55歳のこと。敬愛するオペラ作曲家ロッシーニが亡くなり、その追悼企画として多くの作曲家が曲を持ち寄り、合作の「レクイエム」が計画されたときでした。ヴェルディはその中で「リベラ・メ(われを赦したまえ)」を作曲しましたが、この計画は結局のところ途中で頓挫してしまい、せっかくの作品もお蔵入りになってしまったのです。
 それが復活したのは、5年後の1873年。やはり彼が敬愛するマンゾーニ(詩人)の訃報に接し、ヴェルディは「リベラ・メ」に加えて、「レクイエム」全曲を自らが作曲しようと決心しました。1年後の1874年5月、ミラノの由緒あるサン・マルコ大聖堂で、壮大な「レクイエム」が鳴り響いたのです(指揮台に立ったのはヴェルディその人)。
 全曲で約1時間30分を要する大作ですが、さすがはオペラ作曲家のヴェルディ。4人のソリスト(歌手たち)が、まるでオペラのワンシーンを歌っているような場面がそこかしこにあり、ときにはソロでアリアを歌うように、またときにはデュエットで……と楽しませてくれます。長い「怒りの日」が終わり、嵐が去った雲の陰から太陽の光が差し込んでくるような「サンクトゥス(聖なるかな)」、それに続く「アニュス・デイ(神の子羊)」は平和な雰囲気であふれており、オペラにおける愛の場面のような幸福感を感じとっていただけるでしょう。

■若武者から堂々としたマエストロへ
 ヴェルディの代弁者とも言えるムーティ

 イタリア・オペラを知る人なら、クラウディオ・アバドと共にヴェルディ指揮者として名高いリッカルド・ムーティのことを、高く評価しているはずです。長くミラノ・スカラ座音楽監督として君臨し、名実ともにイタリア音楽シーンの頂点へ。指揮者には厳しく目を光らせているウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の信頼も厚く、ほぼ同世代と言える小澤征爾とは、若い頃から互いを意識し合っていたようです。そうしたマエストロだけにヴェルディの指揮にはうってつけ……いや、私たちは世界最高のヴェルディを聴くことができるわけなのです。
 4人の声楽ソリストも選りすぐった名歌手ばかり。2005年に引っ越し公演が行われた「ナポリ サン・カルロ歌劇場」に同行し、待望の初来日を果たしたバルバラ・フリットリ。来日公演を行うたびに彼に魅了されてしまうファンが増え続け、大作曲家と同じファースト・ネームを持つところに因縁を感じるテノール歌手、ジュゼッペ・サッバティーニ。「ナポリ サン・カルロ歌劇場」公演の歌劇《ルイーザ・ミラー》で2人が共演し、息のあった歌を聴かせたことも、まだ記憶に新しいでしょう。また、バスのイルデブランド・ダルカンジェロは、ゲルギエフ盤、アーノンクール盤という2つの強力な「レクイエム」の録音でも歌っている、人気と実力が保証された名歌手。望みうる最高級のメンバーが集まり、聴衆を圧倒します。
 演奏はもちろん、サイトウ・キネン・オーケストラ、水戸室内管弦楽団小澤征爾音楽塾オーケストラなどに所属する名手たちが顔をそろえた「東京のオペラの森管弦楽団」、そして同じく、実力派を集めた祝祭合唱団ともいえる「東京のオペラの森合唱団」。マエストロ・ムーティが引き出すサウンドは、やはり熱狂か、それとも重厚か。彼の指揮でイタリアの至宝であるヴェルディの音楽を演奏することは、胸を借りるようなものでしょう。2年目を迎えてますます充実したアンサンブルが、必ず成功を約束します。

山尾 敦史(音楽ライター)

http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/perform/list0604.html#P09M1
http://www.suntory.co.jp/suntoryhall/sponsor/060403.html
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サントリーホール プッチーニ・フェスタ2006
ホール・オペラ® プッチーニトゥーランドット (全3幕・日本語字幕付)
2006年4月3日(月) 18:30開演 4月6日(木) 18:30開演 4月9日(日) 16:00開演

アリア「誰も寝てはならぬ」で有名な『トゥーランドット』をホール・オペラで!
ニコラ・ルイゾッティ指揮によるプッチーニ・フェスタの締めくくりは、未完の超5大作『トゥーランドット』をお贈りいたします。トゥーランドットには、メトロポリタン歌劇場スカラ座での活躍で「トゥーランドットはまさに当たり役」と大好評のグルーバー。カラフには、ポスト3大テノールの呼び声高いラ・スコーラ。そしてリューには、ブルガリア出身の清純派美貌リリック・ソプラノ、ヴァシーレヴァを迎えます。『トスカ』『ラ・ボエーム』と素晴らしい指揮を披露したルイゾッティが今回もその才能をいかんなく発揮し、プッチーニの世界へ誘います。
舞台・衣装・照明を導入した新しい上演形式「ホール・オペラ®」のステージをお楽しみください。
※チケットは完売いたしました。
日時 2006年4月3日(月) 18:30開演(17:50開場)・ 4月6日(木) 18:30開演(17:50開場)・ 4月9日(日) 16:00開演(15:20開場)
出演 トゥーランドットアンドレア・グルーバー(ソプラノ)
カラフ:ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラテノール
リュー:スヴェトラ・ヴァシーレヴァ(ソプラノ)
ティムール:ジャコモ・プレスティア(バス)
ピン:ガブリエーレ・ヴィヴィアーニ(バリトン
パン:櫻田亮テノール
皇帝:鈴木寛一(テノール
役人:清水宏樹(バリトン)、他
指揮:ニコラ・ルイゾッティ
合唱指揮:ロレンツォ・フランティーニ
合唱:藤原歌劇団合唱部
児童合唱:東京少年少女合唱隊/合唱指揮:長谷川久恵
管弦楽:東京交響楽団
演出・装置・衣裳:デニー・クリエフ
照明:石井幹子
料金 S22,000円 A20,000円 B17,000円 C13,000円
会場 大ホール