ドン・ジョバンニ@東京文化会館

NBSが全力で押すダニエル・バレンボイム率いるベルリン歌劇場オペラ3演目のトップ初日.上野はほぼ満員.非常に変わった新鮮なモーツァルトを見せて貰った感じ.演出は現代的な暗く地味などうって事ない舞台だが,数年前の宮本亜門二期会演出のような気味悪さもない(私は亜門演出が非常に苦手).オケも歌手も音量豊か.繊細でアンサンブル第一なのがモーツァルトだと私は思っていたが,ドン・ジョバンニが父の敵と気づいたドンナ・アンナなんてワリキューレみたいだったし,序曲は歌わないし.

ミレッラ・フレーニと故ニコライ・ギャアロフ夫妻が昭和女子大でのリサイタルで見事に歌ってくれたドン・ジョバンニとツェルリーナの二重唱あたりから全体的に乗りが良くなって来たが,これが21世紀のベルリン発モーツァルトなんだろうか?それでも個々の歌手はそれなりの美声で個性的に歌ってくれた.そんな新鮮なモーツァルトだが,それでも流石にモーツァルト絶頂期のオペラだけあり,ドン・ジョバンニを色々な社会悪に置き換えて見ると非常に面白く,兎に角話と音楽のテンポが元々素晴らしく穴がない.
後半に入りアンサンブルはかなり良くなったが,エネルギー一杯なものの繊細さは最後まで感じられなかった.
結局今回来日の全3作品を見るので,取りあえずは明日のマイヤーのリサイタルと再来週の,マイヤーとフランツの<トリスタンとイゾルデ>が非常に楽しみ.秋はクラシックの季節の為,来月の国立と三越歌舞伎は見る時間なし.但し海老蔵のかさね再演目当てで名古屋には行きますが.