愛陀姫などなかなか楽しい納涼歌舞伎

ここの所、歌舞伎を毎月見る客にとり高くつき、かつ中身が薄いので腹立たしかった納涼歌舞伎、今年はそれなりに楽しめた。まず、中身云々の前に舞台美術を見ているだけでも楽しい。音的には、個人的に朝イチ最初の女暫の福助の発声が、いつもながら辛かったが、舞台面はいかにもおおらかな歌舞伎。三津五郎の手塚太郎光盛がいかにもそれらしく目を引く。3人連獅子も舞踊としては退屈でも、新たな試みは見て楽しい。

二部に入り、つばくろは泣かすし、酒呑童子の舞台面もきれいで、勘三郎の踊りは楽しい。

三部、勘太郎紅葉狩りの鬼女は久しぶりに彼らしい切れを見た気がした。眼目の野田歌舞伎の新作はオペラファンには見事にアイーダの翻案に最後はマーラーまで流れたが、研ぎ辰や鼠小僧ほどの新鮮さ斬新さは、僅かにシンプルなオペラで使いそうな舞台美術位。それでもなかなか楽しい1日歌舞伎座缶詰であった。