大迫力の車引

これこそさよなら歌舞伎座公演に相応しい。富十郎も今になって時平の古怪さが出て素晴らしいし、芝かんの桜丸の柔らかみに己れの歌舞伎役者としての充実期とさよなら公演とが重なった吉右衛門は、今は何を演じてもそれらしい。幸四郎の松王も迫力十分。

吉右衛門の梅王丸は声と顔だけでも舞台を圧倒していたけど、やはり勘太郎の彼にしか出来ない腰をギリギリまで落とした絵面の見得はどうしても忘れられない。まだまだ此から何度も見られるでしょうけど。


毎回つまらない下らないと思う昼の部最後の松浦の太鼓も吉右衛門の台詞回しを聞いているだけでうっとりの歌舞伎座


今日は私、昼夜共にど真ん中で見ている為に、しばしば役者の居所の不安定さ?が気になる。特に昼の幕開き。3人が三角にならずに絵になりようがないという居心地の悪さを感じるのは私だけでしょうか?勧進帳義経もやや真ん中寄りすぎのような気がした。

さて、次の道成寺はしっかり堪能しましょう。