教育テレビの日本語特集
多分、2週間位前にNHK教育テレビで特集していた、日本語についての対談特番、三輪明宏VS島田雅彦、多和田葉子VS伊藤比呂美、平田オリザVS福原資生堂名誉会長、の録画をようやく見たのですが、面白かった。
上記別カテゴリーの中に書いた、教育テレビの「日本語なるほど講座」とかなり重なったり(平田オリザ)、三輪明宏の話は、今やっている「人間講座」ともかなりの重複がありますが、三輪明宏が日本語本来の美しさをもっと大事に、といっている直後に、多和田と伊藤*1とが「日本語は綺麗だ、素晴らしい、なんていう考え方大嫌い」といっていたりして。それでも、いかような反論を差し引いても、三輪明宏のお話は面白くって、一つの芸になっていると私は思う。
ここで見直したのが島田雅彦。聞き役に徹して、自分を消して、なかなかうまい。三島由紀夫の対談集を読んでいると、誰の対談かわからなくなるのとは大違い*2。私は、三輪明宏は相手の話を聞いて返すことが出来ない人だから、対談なんて、って思っていましたが、今回は島田雅彦に拍手。
もう少し詳しく、この番組と出演者について書きます。まずは多和田葉子*3は前から気になる存在。ご存知のとおり、「犬婿入り」(けったいで新しい小説の登場、と新鮮だった)芥川賞受賞のあともマイペースで彼女なりの日本語を探りながら、既に人生の半分はドイツに在住、ドイツ語での小説も数々発表、現地でも賞を受賞、という、日本人でこういうタイプの作家は初めて、の人。内心、私は彼女が日本の真の国際化の表現者ではないかと心から彼女の存在を同じ同胞として嬉しく誇りにさえ思っている。
同様に、十年位前には、「シズコズ・ドーター」「めぐみ」*4というタイトルでアメリカで英語で小説を書いている日本女性、それも多和田と同年代のKYOKO MORIがいて、ちゃんと日本語でのプロの翻訳者が翻訳して出版されている。まあ、多和田が純粋に新しい言葉のあり方を求めているのに対してKYOKO MORI は英語だからこそ自分の半生を顧みることが出来たのかな、という内容であるが、いつか日本のカフカが出てくるかもしれない楽しみ一杯である。
伊藤比呂美については名前しか知りません。ポエムは苦手なので。ただ、このときの話は面白かった。伊藤はアメリカに住むようになってから、古典の日本語、それも自我がなかった時代のものへと回帰していったよう。逆に多和田は外国で新たに日本語を発見しているとのこと。この二人の著作は是非、読みたい。