ナポリ サン・カルロ歌劇場2演目観劇、堪能ご報告

 昨日、今日と続けてオーチャードホールの3階席にて鑑賞。
 参考HP http://eee.eplus.co.jp/s/sancarlo/
 今回は2演目ともヴェルディ、とくにサン・カルロでは、今回上演の「ルイーザ・ミラー」と先月、フェニーチェが上演した「アッティラ」を初演した歌劇場だとのこと。サン・カルロで上演したヴェルディはどちらかというとマイナーもの。まあ、彼が若かった頃なのでしょうけれども。

(1)6月18日鑑賞「ルイーザ・ミラー」
 実は私、ルイーザ・ミラー見るのは初めて。ドミンゴあたりが必ずといって良いほど、有名なアリアをベスト集やコンサートで歌う程度の知識だった。だから絶対に見たかった演目。よって、昨年12月12日のチケトリでも、リキ入って、最初にとったため、最初で最後のF席9000円ゲット。続いて、もう一つの「イル・トロヴァトーレ」までE席13000円ゲット。2演目あわせてもD席22000円と同じなり。ちなみに、今回はS席58000円。EF席はやけにお徳でした。ま、関係ない話、といってはなんですが、ルイーザ・ミラーは、3階5列(劇場内での最後列)の右サイド。3階後ろは、2階後ろと並び、ちょいと字幕が私の視力ではみずらい*1
 先月の「アッティラ」と並び、まあ、ヴェルディとしては平凡な作品かなってところ。それにしてもやはりオペラの神様、ヴェルディ、重奏の綺麗なこと。「リゴレット」の最後の4重奏を思い起こすような美しい調べと2幕で堪能。
 今回の目玉は、ルイーザ・ミラー役の、ちらしによると「パーフェクト・ソプラノ」のバルバラ・フリットリと、日本にも年に数回来日している、大御所といってもいいかな(?)ロフォルフォ役のジュゼッペ・サッバティーニ。実は私、サバティーニは、12年前にホール・オペラの「ボエーム」を聞いて以来、いい歌手だとは思いながらあんまり好きじゃなくって。今回も、あれ、音程がちょいと不安定?と思って聞いていたものの、さすがに有名な2幕のアリア、素晴らしい熱唱、邦楽的にやや音程が荒かったものの、その分表現力は素晴らしく、涙、涙。やはり私が涙するほどに観劇する舞台って、オペラが一番多いなあ、とつくづく思う。あのアリアだけでもいいから、是非、テレビでやらないでしょうか?フリットリはなかなか。イタリアって国は、次から次にこの手の新人ソプラノがばんばん井戸水みたいに湧いてくる国ですよね。
 全般的に、演出は藤原に毛が生えた程度だけれども、歌手も合唱もオケもレベルは高い。イタリアは、スカラ、ボローニャ、フェニーチェ、とちょくちょく来日する常連であるが、奥が深いこと。日本も、せめて歌舞伎あたりで、江戸も上方も、となるといいのだけれども、とつい思ってしまった。

(2)6月19日鑑賞「イル・トロヴァトーレ
 完成度では、こちらの方が数段良かった。「ルイーザ・ミラー」の方が勝ったのは、指揮者だけかな?なんといっても、チェドリンスが素晴らしい。一昨年の「ノルマ」で、この人の「清らかな女神」で涙した話は何度の拙ブログにも書いているが(グロベローヴァ、デオドッショウを聞いた後ながら、チェドリンズが頭二つリードだと思った)、今日も素晴らしい。彼女は、2001年の新国「トロヴァトーレ」、2003年の同「ボエーム」ミミ、「ノルマ」に続いて4回目のようだが、私は全て見ている。最初のトロヴァトーレは特に記憶にないところを見ると、平凡だったのだろう。ミミで見直し、「ノルマ」で涙、そして今日も私の期待を裏切らない出来。これだけの深い味わいのある強い声、表現力ならば、是非、「トスカ」の「歌に良き、恋に生き」を聞いてみたいところ。この人、ちらしを見ると、綺麗で可愛いけど、何となく垢抜けない庶民的な感じが、全くタイプの違うソプラノながら、ヴァドゥーヴァと共通しているような気がした。
 一方、日本でのオペラ初登場のリチートラも好演*2。来月のリサイタル、両方行く予定の私は楽しみ。この人も垢抜けない風貌であり、かつ、どっしり体型の割に細い繊細な声なので、ドニゼッテイの「愛の妙薬」から「人知れぬ涙」なんぞ聞きたいと思う。まあ、もうすぐ聞けるでしょうけど。
 ちなみに、こちらは席が3階3列目のサイド。昨日と比べて、たった2列違うだけで随分舞台が近く感じる。終演後、カーテンコール中に1階最後列にて立ってみたら、遥かに近い。秋の「ドン・ジョヴァバンニ」と来年「魔笛」は1階後ろだけど、今日、昨日より音は多少悪いかもしれないが、舞台はもう少しよく見える、と安心して帰路へ。

以上、また追記します。
ひえ〜ぼけぼけで、5月なんて書いてた。私の頭、大丈夫だろうか?

*1:左目矯正後1.2、右目は弱視ゆえ矯正不可能なので使い物になっていない

*2:どうもこの初登場というのは例によって私のウソらしい。詳しくは下記のasariさんのコメント参照のこと。