王立モネ歌劇場「ドン・ジョバンニ」渋谷文化村オーチャードホール

素晴らしい舞台だった。全員のやる気、まとまり具合、指揮者大野和士を中心としたオケの丁寧な演奏や歌手の水準以上のレベル、そして絵画的(ロマン派とでもいうのでしょうか?)な舞台と、これは見なくちゃ損損、の舞台。但し、女性(声)上位ですが。

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/event/monnaie/index.html
2003年12月に上演され大成功を収めた『ドン・ジョヴァンニ』が2005年10月、日本にやってくる。プレミエの際には、トランペット、トロンボーン、ホルン、ティンパニピリオド楽器を使用し、古楽のスタイルを取り入れた大野の指揮は、従来のオーケストラではありえない響きの緊張感と多彩で凝縮された表現を舞台にもたらした。また、イギリス、ロイヤル・オペラを中心に活躍するデイヴィッド・マクヴィカーによる演出は、奇を衒うでもなく、作品本来の世界が的確に表現されている。ドン・ジョヴァンニ役のサイモン・キーンリィサイド、ドンナ・アンナ役のカルメラレミージョをはじめとする歌手たちのアンサンブルも秀逸。特にキーンリィサイドは、その艶のある声を十二分に発揮し、かつてないほどのセクシーで魅力あるドン・ジョヴァンニを演じている。ベルギー王立歌劇場と大野和士伝統と現代の感性の持ち主が相交じった『ドン・ジョヴァンニ』。どんな公演になるか、いやがおうにも期待は高まる。是非その歴史的瞬間に立ち会ってほしい。
(上記以外、コピペ不能なため、興味ある方はHP見て下さい。)

歌手の中でも、ドンナ・アンナのカルメラレミージョが秀逸。彼女、本当にいい歌手になった。一昨年の「ボエーム」や*1チョン・ミョンフンとの共演を都民劇場で見たり*2、その前にもオペラで見ていたはずだが、知り上がりに素晴らしい歌手に変身している。一昨年の「ボエーム」でも、足を骨折した直後で動きがうまく出来ないにもかかわらず、プロ根性でこなしたことを考えると、彼女はただ者ではないかも。今回は、モーツァルトの陰影をつけた表現豊かで詩情性のある歌唱は見事だった。そして、今回初めて私が気付いたのが、彼女が小柄だということ。この人のほかにも、バレリーナではなるが、プリセツカヤアナニアシヴィリ、そして歌舞伎役者では、中村雀右衛門中村鴈治郎など、しばらく小柄なことに気付かなかった(他の縁者と舞台で並んで見るまで)。こういうのをオーラというのかもしれない。

他に、ドンナ・エルヴィーラの素敵なメゾ、長身でスリムで、それこそオーラ満載の舞台姿のマルティーナ・セラフィンも素敵。彼女が出てくると、舞台が違って見えた。185センチくらいはありそうな姿、ばらの騎士かオスカルでもやるとはまりそう。勿論、歌唱力も表現豊か、声量もあり素晴らしい。一昔前には、180センチのジョーン・サザランドが長身ゆえに役柄が限定して苦労したなど聞くが、今日は彼女が全体で最も長身に見えたくらいだったから、世の中変わったかな?それにしても、ドン・ジョバンニ役が、宣伝は凄かったけどイマイチに見えたので、どうしてこんなかっこいい女性がドン・ジョバンニ固執するのか謎だった。

尚、私の席は1階最後列。なかなかこれが良かった。ただ、出口そばだと、途中で出入りする人が気になるのが難点だったが。2幕だけいらっしゃった美智子皇后もよく拝見できる席。それにしても、美智子皇后、私は数回同じ舞台を拝見しているが、いつも2幕目から。何故だろうか?

*1:このとき、ヴァドゥーヴァでも見たが、完全に実力が反転、じゃない逆転。怖いですね、何事も5年で実力の位置取りがガラッと変わるのだから。

*2:聞くところによると、ミョンフンの秘蔵っ子だったとか、わかるね。