春琴@世田谷パブリックシアター

最高に面白かった.本当に久しぶりに時間の事を一切考えずに引きこまれ,改めて私が一番好きなのは実はストレートプレイだと実感した.サイモン・マクルーニーの演出は初演のエレファントバニッシュとルーシー・キャバレルを見ているが,前回の村上春樹ワールドにせよ,どうして日本人でなく英国人にしてやられるの?という位に素晴らしい.役者も実力ある人しか使わない.エレファントバニッシュでは吹越満堺雅人が印象的だったが,今回は出ていないものの,アフタートークでマクルーニーは吹越と共演する喜びを語っていた.

春琴役は10歳から成人するまでは人形が,次に人形振りの小柄な女優が,最後に最初から黒子と声を担当した深津絵里が演じる.深津絵里は特別美しい女優だとは思わないが,マクルーニーのマジックで,まさに盲目の絶世の美女てあった.そして三味線は本城秀太郎という贅沢さ.アフタートークは本日から4日間あるが,初日のマクルーニーに当たり良かった.当初の発表は土曜の萬斎だけで,売り切れで買えなかったのが幸運.当日立ち見しかないそうだが,見ない損はないと思う.

追記:楽しんだおかげで、昨日はめまいがして大変だったのが、すっかり風邪が抜けかけてきたような気がする。病は気から。サイモン・マクルーニー、カナダのロベール・ルパージュと並んで、絶対にはずせない演出家だ。私はルパージュを10演目位見ながらも、肝心の、サイトウキネンの「ファウストのごう罰」をはずしたのが悔やみきれない。評判は余りぱっとしなかったみたいだけれども。