ベジャール・ガラは今日の方が上

土曜日に見た東京バレエ団ベジャール・ガラは正直、ギエムの「ボレロ」は別格としても、ペトルーシュカは同じ仮面を使うならば先月の海老蔵の「七ッ面」の方が遥かに面白かったし、「ドン・ジョバンニ」はベジャールの女性ダンサーを使った振り付けはつまらないなぁ、が本音。今日は最初のギリシャの踊りは力強い土と潮の香りがしたし、次の「中国の不思議な役人」はこれぞベジャールという、何人も真似のしょうがない不可思議で深く暗く絶望的ながら美しい振り付け。東京バレエ団はよくぞこれだけ踊れる男性ダンサーを集めたと感慨ひとしお。その割には「ドン・ジョバンニ」では片足立ちもまるで毛ぶりが終わった鏡獅子みたいにふらつく女性ダンサーが目立ったのとは大違い。


その上で上野水香の、恐らくは進境著しいるしいボレロ。流石にギエムのように汗一滴もない姿とは異なったが、長い赤い髪をたまに邪魔そうにした「ギエム」のしぐさもない可愛いポニーテールで、何といっても全体を見せる、ベジャールボレロという作品を観客に楽しませた所と彼女ならではの躍動感が素晴らしい。


そうして考えるに私がどうしてもギエムが好きになれなかったのはまさにその点。例えば「白鳥」にしろ「眠り」にしろ、彼女のパートをあれだけ技術的に完璧に踊ったダンサーは他にいるとは思えないにしろ、ギエムはいつも自分が踊りやすければいいというスタンスが見え見え。相手を勤めたローラン・イレールにしろジョナサン・コープにしろ、その時代の一流ダンサーでも超一流とまでは言えなかったのではないか?恐らく性格も他の男性ダンサーほどには激しくなく、100%ギエムの為に踊るダンサーだろう。だから、見た後の作品への感動が、例えばバッセルや吉田都、アナニアシビリほどには感動させてくれなかったからだ。その点を改めて感じた今日の公演だった。少し前までの玉三郎とギエムが私の中でどうしても重なってしまう。


昨日少しアップしたベイシティ・ローラーズだが、バイバイベイビーにしろサタデーナイトにしろメッセージ性ゼロでシンプルで。スマスマに出て気の毒な歌手が多い中、中居君の歌唱力でもタメだから安心して見られた。ところで、ベイシティ・ローラーズのチェック柄とチェッカーズとは関係あり?どなたかご存知?

[[NEW2009/02/10 [NBS最新情報]

東京バレエ団ベジャール・ガラ> 本日のキャスト

モーリス・ベジャール追悼公演V / 東京バレエ団創立45周年記念公演II
東京バレエ団ベジャール・ガラ> 
ギリシャの踊り」「中国の不思議な役人」「ボレロ

振付:モーリス・ベジャール  振付指導:ジル・ロマン、小林十市


◆主な配役◆

ギリシャの踊り」 音楽:ミキス・テオドラキス

I.イントロダクション 
II.パ・ド・ドゥ(二人の若者):長瀬直義-横内国弘
III.娘たちの踊り 
IV.若者の踊り 
V.パ・ド・ドゥ:吉岡美佳-平野玲
VI.ハサピコ:奈良春夏-柄本武尊
VII.テーマとヴァリエーション 
ソロ:中島周
パ・ド・セット: 西村真由美、乾友子、佐伯知香、田中結子、森志織、吉川留衣、阪井麻美
VIII.フィナーレ: 全員



中国の不思議な役人」 音楽:ベラ・バルトーク

無頼漢の首領:後藤晴雄
第二の無頼漢―娘:首藤康之
ジークフリート: 柄本武尊
若い男:井脇幸江
中国の役人:木村和夫



ボレロ」 音楽:モーリス・ラヴェル

上野水香

平野玲、松下裕次、長瀬直義、横内国弘

※音楽は特別録音によるテープを使用します。


◆上演時間◆

ギリシャの踊り」 19:00 - 19:40
【休憩】 15分
中国の不思議な役人」 19:55 - 20:30
【休憩】 15分
ボレロ」 20:45 - 21:05

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