仁左衛門


先日、歌舞伎座昼の部を再度見る機会に恵まれた。

今度は花道がよおく見える位置だったので、仁左衛門丈の与兵衛の花道の出と入りがとおく見えて本当に良かった。


それにしても、仁左衛門の歌舞伎の演技って、どうしてこんなにわかりやすいのだろうか?21世紀にドンピシャって感じだ。姿格好にも実に恵まれているし、戦前生まれの団塊の世代のさらに上とはとても思えない。

寺子屋」の松王丸にしても、「雪暮夜入谷畦道」の与三郎にしても、奇をてらわない中での丁寧で現代的な演技と伝統的な型の融合、されに言えば、上方と江戸との融合。


おそらく、彼の舞台ならば、テレビで見ても飽きないと思う(先日、歌右衛門の「建礼門院」をテレビ見ていて辛くなった。私の記憶が適当なんだろうけれども、隅田川とかなり混じって記憶に入っていた。後者は舞台を実物では見ていないのに。。。)。


ともかく、15年前に大病から復活してからの活躍は凄い。それ以前は、一部の方々からは、大根、とも言われていたらしいので。


ただ、やはり喉の病を克服したからか、その前の音声を聞いていると、今とはかなり声質が変わってしまったうような気がする。かつてはもっと太い声が出ていた。それにしても、大病をしながら、あれだけ若々しいというのはまさに奇跡。これからも目が離せない役者の一人だ。