新国立劇場ダブルその壱:修善寺物語

なかなか面白かった。最初から舞台は歌舞伎そのもので、かなり藤十郎が丁寧に頑張ったかがすぐにわかった。特に今日のかつら、頼家、春彦は国立劇場の研修生レベル以上ではないかと思った程。一方夜叉王と景安は農村歌舞伎で止まった感じだったが、夜叉王の歌唱はただ一人字幕を見ずとも日本語がよく響き良かった。


ただ、いくら歌舞伎を模倣した演技をしても、歌舞伎ではなくオペラなのだから、外人には目新しく海外公演あたりで受けようが、だから何?オペラ歌手の演技研修?という気がしてならない。


歌舞伎の引き出ししかない歌舞伎役者にオペラの演出って?と私は甚だ疑問。オペラを愛する玉三郎あたりを引き摺りだせたら面白いかもしれないけれども。


残念ながら団十郎が倒れる直前に演出した鳴神も猿之助演出の金鶏も影のない女も見ていないが、猿之助が元気だったら是非新国には作品を作って欲しかった気がする。案外演出助手の右近あたりと誰かが組んで作り上げる事もありかもしれないが、オペラで早変わりってのは聴かないし。