ルテアトル銀座歌舞伎

1部2部鑑賞。


福助玉三郎のお染の7役は見ているがおもだか屋のものは初めて、女殺油地獄も普段見ない箇所の上演があり、非常に興味深かった。

また、先月の玉三郎公演を見ていないため、ルテアトル銀座歌舞伎自身が初めてで新鮮だった。


後ろ3列に振られている3等で見たが、案外見易く、逆に舞台が通常よりも多少高かった為に前は見にくかったと思う。


ただ、ルテアトル銀座のアコースティックが歌舞伎座や演舞場、国立劇場よりも響くために、後ろだと反響して台詞が耳に入る為にやや聞きにくい。


今日は日曜日だか昼夜共に満員。今月の東京地区の歌舞伎はルテアトル銀座だけなので、みな集まるのだろうが、eプラスでは一部得チケも出ているようだ。


染五郎の女殺は松嶋屋だと余りに口跡が良くて音楽的に耳を通ってしまう台詞がきちんと耳に残り、亀治郎のお吉もとてもリアルで、まるで現代劇を見ているように引き込まれた。


亀鶴、昼夜共に短時間ながら、いかにこの役者が時代も世話も所作事も立役も女形も水準を遥かに超えた舞台を見せられる事を証明しているのに、どうして役がつかないのだろうか?せめて国立の歌舞伎鑑賞教室の主役位回ってきても良さそうなのに。


昨日の文楽に繋がるが、2部の白大夫を見て、亡き羽左衛門を、時平を見て、つい昨年見たばかりの富十郎を思い出した。本当に生の舞台を見ていて良かった。


数週間前に放映した富十郎の追悼番組の後半の30年近く前の鏡獅子もやっとみた。あのきっぷのよい体の切れと間合いが実に素晴らしい。15年程前に明治座再開場の際に現役最年長の本公演鏡獅子は見ていたが、やはり体の動きが50代の頃は違う。昭和20年代の演劇雑誌を見ると、松竹にもの申したり、なかなかのやんちゃでもあったらしい。公私共々になかなか激しい人生を送られたようだ。改めてご冥福をお祈りすると共に、ご子息、鷹之資君の成長が楽しみだ。いつ、鏡獅子を見せてくれるだろうか?