玉三郎若干19歳の美貌に遭遇した(国立鑑賞会)

 昭和44年11月の国立「椿説弓張月」の白縫姫。三島が自害する前年のことである。一昨年南座にて玉三郎の200点満点ともいえる絶品の「京鹿子娘道成寺」を見に行った際、たまたまオキニの先斗町茶店にて、玉三郎18歳のときのカネボウ化粧品のポスターを発見したが
(店主曰く、この世に一点しかないらしい)、まさにそのポスターのままの玉三郎が出てきた。いつ、また私たちが10代であそこまで美しい女形に遭遇することがあろうか?発声がまだ硬く、それもまた初々しい。化粧も今のような熟練の域ではなく、自然な時分の花。堪能。今の玉三郎はやや丸みが出たので文楽人形のようだが、当時はまだ鋭角でサド姫っぽく、さすがの三島の当て書きである。玉三郎に間接的になぶられる役者は、一昨年歌舞伎座再演の時の役者に比べて、筋肉モリモリは同じとしても体型的に頭でっかち尻つぼみの昔体型でよりそれらしかった。