15代目羽左の声を持っていた

 今頃馬鹿みたいですが、獣小屋に住んでいる私、突如数年前に歌舞伎座前のお見せで購入したと思われる伝説の名優のSPから興したCDを数枚持っていることを発見。第2次大戦が終わるほんの数ヶ月前に伝説の美男、現富十郎のおじい様でもある15代目羽左衛門が美声で華があって、と知らない人は少ないでしょう。
 私の個人的な知り合いでも、2、3人、15ウザの舞台を見た、とか、楽屋までいったことがある、とかの秘蔵思い出をお持ちの方がいらっしゃいます。大体八十歳は超えられている方ばかりですが。。。羨ましい。まあ、15ウザところか、11代目団十郎さえ知らない、もっというと歩けなくなった歌右衛門しかしらない私のようなにわかファンには(って言ったって、歌舞伎観劇暦は14年、年間50回は見てるけどさあ)。
 15代目羽左衛門というと、美男ぶりと共にいわれるのが音吐朗々としたその美声。でもね、私のCDに入っているのはおじいちゃんになってからなのでしょうか、私の耳が悪いのか、芸を聴く耳がないのか、もしかしたら入れ歯になっているかもしれない、既に中性色が入ったおじい様の声にしか聞こえないのです。1874年生の1945年没、だから孫の現富十郎の方が長生きだけど、富十郎の声はおじい様声じゃないよ〜
 ま、ナマを知っている人に聞くしかないですけど。
 ちなみにナマを知っている方のお一人は、藤原義江のリサイタルにいったら、すぐ横に原節子が座って、いい香りがして綺麗で、リサイタルどころじゃなかった、という思い出もお持ち。あとから生まれたものにとっては羨ましいの一言。勿論、15代目→11代目→海老君、とその方は現在3回目の青春をお楽しみなのです。私も、海老君→隼人君→千之助君、って構図を考えているけどネ。
ついでに書くと、藤原義江の録音聞いてると、なんか演歌っぽっくって、三輪明宏のシャンソンみたい(二人とも浪花節っぽいのよね、三輪さんはやっぱ「ヨイトマケの歌」だもんね。何か品がないの)。と思ったらやはりもともと藤原義江のお育ちからして仕方がないらしいってこと、最近になって「私の履歴書」と「漂白者のアリア」を読んで知った蛍光灯の私である。