東京の森オペラ「エレクトラ」

 4回公演の第3日目の今日、鑑賞。2時間弱、一気に見る。
 http://www.tokyo-opera-nomori.com/opera_j.html
 東京文化会館 大ホール
S:\36,000 A:\32,000 B:\28,000 C:\23,000 D:\18,000 E:\10,000
指揮 小澤征爾   演出 ロバート・カーセン
東京のオペラの森管弦楽団 東京のオペラの森合唱団
出演 デボラ・ポラスキ アグネス・バルツァ
   クリスティーン・ゴーキー フランツ・グルントヘーバー など

なかなか良い出来でしょう。昨年の新国立劇場の「エレクトラ」に匹敵するような。新国立のほうが、完成度は高かった気がしますが、こちらはスター揃いですから。席ががらがらなことも同じ。これは作品のせい?小沢の指揮でこんなにすいていて、ついでながら、こんなにブーイングが指揮者に出たのは初めて。

実のところ、私は小沢の指揮がどこがいいのかわからないのです。勿論、私は素人中の素人で、音楽の勉強もしたことはないし、ただ、ここ15年くらい、好きで見に行っている程度。ですが、クライバーアバド、メータ、ゲルギエフチョン・ミョンフン、その他、からいただいたような同じ感動を小沢から貰ったことはないのです。音楽として、という但し書きですが。勿論、小沢が凄い!と思うのは、指揮者を超えた部分のカリスマ、プロデュース力、政治力などなど。何回かいい演奏、作品を見せていただきましたが、どれも現代オペラだったり、メロディーで美しい音で迫るものではなかったのです。「ティレジアスの乳房」とか「イエヌーファ」とか「ピーター・グライムス」とか。

まあ、今日いらっしゃった皆様はおおむねハッピーに帰宅されたとは思いますが、いくら払ったか、にもよるかな?18日夜の筑紫哲也のニュース番組で、今回の演出家、ラーセンとの対談がありましたが、あれは恐らくこの「エレクトラ」とフェニーチェの「椿姫」が売れてないからだろうなあ、と思いました。演出は、ギリシャ悲劇のコロスの感覚で女性歌手を使っていて、嫌味がなかったし、真ん中にお墓のような穴をおいて色々と使っているのは、シンプルながらすっきり。昨年世田谷でみた「求塚」やら、この手の演出ははやっているのでしょうか?ただ、せっかくお金と時間をかけて、舞台転換もない、こんな暗くってアリアもないようなオペラは、どうしても人気が出ないでしょうか?オペラ・ファンとしては、「エレクトラ」が半年に2回も見られるなんて、私は初めてが2回になって嬉しいですけれども、それにどちらもいい出来でしたし。

ポラスキとヴァルツァの母娘の対決を見ていると、まるでカルメンVSブリュンヒルデの対決を見ているようで、凄い迫力。ただし、ポラスキって、もっと声量がある歌手だと思っていたのですけれども、この作品にあわせたのでしょうか?以前のベルリンの「リング」では、ヴォータンよりも誰よりも大きかったポラスキが、妹よりもほっそりしていて、巨大な姉妹は迫力でした。