歌舞伎座夜の部再々見(4月25日)(3階最前列10番台)

 体調最悪になりつつありますが、これから見に行きます、千秋楽。アップは26日火曜日の夜以降予定。GWも色々面倒なこと続出なのですが、楽しむ時間はとっておかないと。

いやあ、散々けなした(でもないか?)「籠釣瓶」よくなっていましたね。口上も千秋楽なのでしんみり、心に残るのは玉三郎の本当に心の篭もった言葉。ただ、会場全体が、勘三郎はおろか、玉三郎ファンが大勢いたようで(かくいう私もそう)、拍手がないほうがいいところで異様な拍手があったり(八つ橋が海老そりしたときなんて、死ぬときなんだからあ、って思うわ)がいくつかマイナス点でしたが、よかったです。

 まず、勘三郎ですけど、「道成寺」は別格として、「一条大蔵卿」も「盛綱」も「佐野次郎左衛門」も、全て吉右衛門の当り役でしょう?どうしても比較してしまいますよねえ、歌舞伎ファンだったら。そして、それ以上のものを見せてもらわないと不満になるのは当たり前。「鰯売」は別だけど、私的には、あの演目をもう5回位見ているので、十二分。それが千秋楽では、ようやく勘三郎がきちんと租借して、彼独特の世話物も入った、愛嬌のあるいい味を出していましたね。その上に、殺しの迫力もあるし。今回の襲名で一番感じたのは、「道成寺」の鐘への恨みといい、次郎左衛門の八つ橋への恨みといい、以前はあっさり味だった江戸風の勘三郎から、一つ別の次元に変わったこと。この変化は、大いに楽しみですね。ハラが出た、とでもいうべきかもしれませんけれども。

 「毛抜」の桜町中将の海老蔵、1回目に3階最前列上手で見たときには、あれ、団十郎そっくり、と思い、2回目、1階2列目10番台からも、なんかちょっと太くなってお父様とっくり、と思ったのが、今回の角度からは、やはりお祖父様の11代目団十郎に似ている面差しが!品と哀愁がただよう端正な顔立ち、あれだけ見ても3階分の席料はモトが出た、と思うのは私だけでしょうか?

 開演前に、歌舞伎座となりの「歌舞伎そば」にてオキニの『もりかき揚げ』を食べる。以前は若いお兄ちゃんやらおばちゃまが夕方はヘルプに入っていたのに、最近はまたおじ様一人で作っている(おち、おばさまのアシスタントはついていますが)。実は十年越しのご贔屓なんですね、私。あの無口なおじさまに、「歌舞伎に来たの?こっちにきたの?なんだ、歌舞伎目当てか?仕事でこっちめあてで来たと思ったのに」と声をかけられ、幸せな気分に。このお見せは、ピヨトル書房の「歌舞伎はともだち 三階さん」を読んでから知り、いっとくエライご贔屓になっていたのです。

 もちろん食事タイムには、クレムリでソフトクリーム食べたし、知り合いに二人あって、お一人は15代目羽左衛門から、慶ちゃん福助(現福助の祖父、伝説の美貌の女形ながら夭逝)の話やらも伺え、満喫の夜でした。