見て良かった新国椿姫

まず指揮の上岡さんが良かった。小気味良いテンポで感傷的になりすぎず聴かせるところはキチンとした、嫌味のない個性に拍手。タイトルロールのモシュクは昨年聴いたリサイタルの時の印象同様、こちらも嫌味のない聖女のごときヴィオレッタ。最後に泣かされた人は多かっただろう。第三幕でビックリ印象に残ったのはドスのきいたアンニーナ。アルトに近いメゾで、私が前から疑問に感じているヴィオレッタが死んだら彼女の生計はどうなるのだろう、が、アンニーナがいたからヴィオレッタがアルフレードに再会するまで行きながら得た、に変わった。岩森美里さんにこれからも注目!が、謝肉祭にお金を寄付するならアンニーナに残してくれてもいいのでは?の私の気持ち、もしかしたらアンニーナがへそくりしていたかも?に変わった。

アルフレードのサッカは突進型で熟慮しないアホっぽさが良かった。ジェロモンが最悪。アタネッリって、どこの新人さんかと思うほど、直線的歌唱で心がなく、歌手だが演者ではない。このオペラの深みを台無しにした感じ。

終演後、ニアミスのはずだったブロガーさんと楽しく簡単に新宿で食事。アフタヌーンセットのベーグルもケーキも美味しかった。疲れているが上野のフランダースが待っている。フリート新之助は無事退院、食欲も散歩欲もありとりあえず安心。やっとケータイが鳴るかもしれない恐怖からおさらば。この恐怖からだけは永遠におさらばしたい。