ツィメルマン&バーゲンカルテット

都民劇場定期。久方ぶりにプロらしい実に渋く華やかな演奏だった。


詳細は帰宅後に。

http://www.tomin-gekijo.or.jp/ongaku_sub/ongaku2010b.html
クリスチャン・ツィメルマン
  & ハーゲン弦楽四重奏団

バツェヴィッチ  ピアノ五重奏曲第1番(1952)
ヤナーチェク 弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ
シューマン ピアノ五重奏曲 Op.44

王道を歩む孤高のピアニストと世界を代表するカルテットがシューマン生誕200年に
夢の初共演。この夏のザルツブルク音楽祭から日本へ登場。


孤高の名手と至高のカルテット、夢の共演
 下期は、世界最高クラスのピアニスト&弦楽四重奏団の“夢の共演”という、豪華プログラムで幕を開けます。
 クリスチャン・ツィメルマンは、1975年のショパン・コンクール優勝以来、第一線で活躍している、いわずとしれた世界的名手。完璧なまでに磨き抜かれたピアニズムは、もはや並ぶ者のいない領域に達しています。都民劇場でもおなじみの存在ですが、2008年チョン・ミョンフンとのルトスワフスキの協奏曲、09年P.ヤルヴィ/シンシナティ響との「ラプソディ・イン・ブルー」に続く登場となる今回は、彼としては珍しい室内楽のステージ。こうした一流演奏家の異なる一面を定点観測の如く味わえるのは、実に贅沢かつエキサイティングです。
 ハーゲン弦楽四重奏団は、ザルツブルクの兄弟姉妹によって結成以来、30年間活躍を続ける名カルテット。グラモフォンからリリースしたCDでも評価を高め、今や世界の頂点に立つ存在となりました。その演奏は、一分の隙なく構築されながらも、オーストリア特有の味わいを湛えているのが得難い魅力。ツィマルマンとは夏のザルツブルク音楽祭で初共演後に日本公演を行いますから、スリリングな妙味と完成度の高さを併せ持った名演が期待されます。
 演目も興味津々。まず昨年生誕100年を迎えたポーランドの女性作曲家バツェヴィッチの五重奏曲は、ツィメルマンの強い思いゆえにプログラミングされた作品。ルトスワフスキの協奏曲と同様、尋常ならざる集中力によって、新たな音楽を知る喜びがもたらされるに違いありません。ヤナーチェクの「クロイツェル・ソナタ」は、ハーゲンの真骨頂。明快で斬新な名作をいかんなく堪能できます。そして生誕200年を記念したシューマンの五重奏曲は、この形態の最高傑作であり、メロディアスでダイナミックな音楽は、室内楽ファンならずとも楽しめること請け合い。ましてや最高のコンビが丁々発止繰り広げる今回は、絶対に聴き逃せません。



(柴田克彦=音楽評論家)